皆さま、明けましておめでとうございます。

さて、今回は先日お伺いしたお客様のピアノが低音部に「鳴らない弦?」が付いている珍しいピアノでしたのでご紹介したいと思います♪
また、そのことを通じてピアノの右側のペダル「ダンパーペダル」の役割についてもお話しできればと思います。

ピアノには約230本の弦が張られていますが、そのどれもが「音を出すための弦」です。
例えば、「真ん中のドの鍵盤」を弾くと「真ん中のドのハンマー」が動き、「真ん中のドの弦」を打つ・・・、こうした仕組みでドの音が出ます。
基本はそうなのですが、今回ご紹介するピアノは鍵盤と連動していない弦が付いているのです。

このお客様のピアノ「カワイ US-75」がそのピアノです。
この「カワイピアノ US-75」は外付け譜面台を採用してあるアップライトピアノで、当時のカワイピアノの中でもかなりの上位機種になります

鍵盤と連動してない弦・アクチュエイター弦とは?


低音部の弦で2本だけ短い弦があります。
こちらが鍵盤と連動していない弦、つまりハンマーで打たれることのない弦です。

この弦は「アクチュエイター弦」といって他の音がこの弦に共鳴し、音を響かせるため弦です。
役割としては「右側のペダル:ダンパーペダル(サスティンペダル)」に似ています。

ピアノの一番右側のペダル(ダンパーペダル)の役割って何なんだ?

「鍵盤と連動していない弦・アクチュエイター弦の役割=右側のペダル・ダンパーペダルの役割」と書きましたが・・・、ではダンパーペダルの役割って何なのでしょうか?

そうです!!
弾いた音が伸びる」ってことです♪

なのですが・・・、実はそれだけではないのです。
ダンパーペダルを踏むことによって・・・、230本ピアノのすべての弦が鳴るのです!


画像は「ダンパーペダル」を踏んでいないピアノ内部(弦付近)を写したものです。

赤で囲った「白いフェルト」が「ダンパー」です。
しっかりと弦に密着して「音が出ないように・・・、つまり弦が振動しないように」しています。


こちらは「ダンパーペダル」を踏んだ時の画像
先ほどは弦に密着していた「ダンパー」が弦から離れています。

画像ではわかりやすいように1つのダンパーに赤丸をしていますが、もちろんすべてのダンパー(およそ70前後、ピアノは88鍵ありますが高音部1オクターブ半は付いていません)が弦から離れます。

この状態を専門的には「開放弦」と言っています。
ダンパーから「開放」されて「音が出る・弦が振動する」状態になった・・・、ということです。

この状態で、ピアノを弾くと弾いた音が230本すべての弦に共鳴し「とっても響く、豊かな」音になるのです。

このアクチュエイター弦、非常に珍しくてめったに見ません・・・

ご紹介したアクチュエイター弦もダンパーは付いておらす「開放弦」になっています。
鍵盤によって演奏されることはありませんが、すべての鍵盤・音の「共鳴弦」として音を豊かにする役目を影から担っているのです。

このアクチュエイター弦ですが、国産ピアノではカワイのある時代の上位機種にしか採用されていません。
わたくしも仕事をしていてめったにお目にかかることはありません。
景気が良く、ある意味では「採算度外視」でメーカーや職人さんが「良いピアノ」を作りたいという気持ちが感じられる・・・、そんな古き良き時代のピアノです。
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年が明けて、今年は平成30年・・・、平成も30年も経つんですね。
今年も皆さまの、そして皆さまのお子様のピアノライフが楽しいものになるよう頑張りますm(__)m