みなさま、こんにちは。

さて、関東の豪雨災害から一週間ほど経ちました。
私の住む野田市でも避難指示・避難勧告が出て、床下浸水の被害に遭われた家もあるようです。

また、連日報道されていますが、茨城県の常総市では鬼怒川が決壊し大変な被害がでましたね・・・。
私も常総市は仕事で行く機会も多く、馴染みのある場所です。

そんな折、常総市にお住まいのお客様からご連絡をいただきました・・・。

「ピアノが下から35cmほど水没してしまった、何かできることはないでしょうか・・・?」

正確には私がお伺いしているお客様ではなく、そのお客様のご友人のピアノが水没してしまった・・・、とのことでございました。

正直、水没してしまったピアノはかなり厳しい状態・・・

ピアノにとって一番の大敵は「湿気」です。
とにかくピアノが故障する原因の大半は「湿気」といってもよいくらい、ピアノにとって「湿気」はダメなんです。

そんなデリケートな楽器ですので「水没」となると・・・、状況的にはかなり厳しいと言わざるを得ません。

自然災害の場合、ピアノ云々いってる場合じゃない・・・

今回のお客様のご友人の様に、洪水等の自然災害でピアノが水没してしまった場合、状況的にはピアノ云々言ってる場合じゃないんですよね。

あたり前です、ピアノのことなんか後回しです。

まずはご自身やご家族の安全があって、住居の問題があって、生活の問題があって・・・、経済的な問題があって、それぞれの先の見通しがたって・・・、それがあってのピアノですからね。

ですので、ご相談いただいた方からも・・・、
「家の中のめちゃくちゃで、しばらくはピアノの修理とか調律とは無理なので、現時点でできることを教えてください」
とのことでした。

こんな状況で、出来ることって何だろう・・・

今回のお客様の場合、水没は下から35cmってことでした。
鍵盤より上、つまり鍵盤とアクション部が水に浸かってしまうとこれはさらに厳しい状態だと考えられますが、下から35cmだと鍵盤より上は水に浸かっていない・・・、これがまだ救いなように思いました。

そこで私が出来ることとしてアドバイス(メールでのやり取り)したのが、2点です。
【木部の乾燥】
【金属部分の錆止め】

【木部の乾燥】
「もうすでにやっていると思いますが、水に浸かってしまった部分をよく拭いてください。」
「できるなら、扇風機やドライヤーをゆっくり当てて乾燥させてください、ピアノの前面・裏面両方です(よく考えてみたら電気は通っているのだろうか・・・)」
(ピアノ前面の下には「下前板」という黒い板がはめ込まれていますが、その板の外し方は画像添付で説明)

【金属部分の錆止め】
「状況を推察すると、水没した金属部分は『ペダル(内部部分含む)』『弦(下部)』『キャスター』だと思います、それらの部品をよく拭いて、ホームセンターで売ってるようなもので構いませんので、錆止めスプレーを遠目から吹きかけておいてください」

お客様の状況を考え、現時点でお客様ご自身で出来ることはこれくらいかと思われました。
私が現地に行って・・・、そんなことが一瞬頭をよぎりましたが、お客様や被災地の正確な状況もわからないのに、私が行ってもただの迷惑にしかならないでしょう・・・。

現時点では、お客様の生活が安定され、またピアノに向き合える生活が来ることを祈るだけでございます。
また、ピアノに関しても・・・、なんとか無事でいてほしいなと思います。