「生活空間」にピアノを置く難しさ
ピアノをどこに置くか。
ピアノが来るとなると結構悩ましい問題です。
「リビングか、子ども部屋か」
「1Fか2Fか」
それが決まったとしても
「ドアの位置」
「コンセントの位置」
「生活上の動線」
といったことも考慮しなければいけません。
家族が日常生活を営む「生活空間」にピアノを置く、というのは様々な制限があります。
案外難しいのです。
目次
ピアノの大きさ
なんとなく頭の中で考えて
「リビングならここがいいかな」
「子ども部屋なら北側だろう」
とイメージできても、実際に「置けるかどうか」を判断するときに知らなければならないことがあります。
ピアノの大きさです。
「それなら実家のお母さんに(サイズを)測ってもらおう」
でもいいのですが、忙しいお母さんの手を煩わせるのも悪いですね。
問題は「A 横幅(間口)」
殆どの場合、問題となるのは「横幅(間口)」です。
ピアノの横幅はそんなにバリエーションはありません。
およそ150cm。
(正確には149~153㎝)
両手を大きく広げて・・・、そのサイズが「ピアノの横幅」のイメージです。
次に「C 高さ」と「B 奥行」
「高さ」が一番バリエーションがあります。
といっても3種類ですが。
①110㎝前後
②121㎝
③131㎝
「奥行」もそんなにバリエーションはありません。
①53㎝
②60m前後
「高さ」と「奥行」には相関関係がありまして、「高さ:110cm前後=奥行:53㎝」「高さ:121 or 131cm=奥行:60㎝前後」といった感じです。
実際には椅子に座ってピアノを弾きますので、壁から110㎝~120㎝の「奥行」が必要になります。
ピアノの置き場所:4つの切り口で
生活空間との共存を考える
経験上、生活空間との共存で問題となるのは「エアコン位置」と「コンセント位置」でしょうか。
ピアノはその材質の特性上「湿度差・温度差」を嫌います。
その意味だと、エアコンの風が直接当たる場所 -エアコンの下にピアノ- というのはできれば避けたいですね。
部屋の四隅に設置されていることが多い”コンセント”も問題となるケースがあります。
ピアノも同じく”四隅”に置くことが多い。
後述しますが、壁との距離を確保することでコンセントを生かすことができます。
”防音”の観点は
アップライトピアノは響板の特性上、”前後方向”に音が出ます。
特に後面ですね。
”壁一枚隔ててお隣さん”というのは避けたいところ。
マンションの場合は特に注意が必要だと思います。
その場合、防音パネルの設置を考えても良いでしょう。
”音響”という視点でも
洋間に設置するのと和室に設置するのでは違いますね。
”音の響き”が。
畳は音を吸収する性質がありますので、和室に設置すると音は”まろやか”になります。
洋間フローリングはその逆です。
洋間に置いて”音が響きすぎる”場合 -とてもレアケースですが- 床下や壁、ピアノ背面に設置する”吸音材”や”調音材”などもあります。
(防音ページの一番下に「ニトリ」「コーナン」に行った記事があります、ご参考までに)
設置環境は”ピアノの健康状態”にも影響
これは多くのサイトで説明がなされております(湿気の多い場所 湿度差・温度差がある場所 )ので、私からは1点だけ。
”床暖房”です。
床暖房は、「湿度差・温度差のある場所」に該当します。
床暖房の熱はピアノの脚を伝わってピアノ自体を暖めます。
それでいて床暖房を切ると、今度はピアノが冷えることになる。
私の経験だと床暖房が一番ピアノのダメージが大きい気がします。
床暖房のお部屋にピアノを置く時は、”断熱材”が入ったパネルを設置すると良いと思います。
前後左右の間隔について
”大きな地震時の安全性の確保”、及び”音響的理由”によりピアノの背面は10cm前後空けるようにして下さい。
指3本~4本分のイメージです。
左右の間隔に決まりはありません。
コンセントは生かした方がいいですので、そこはポイントです。
「右側のスペースを空けてください」という調律師さんがおられますが(調律作業がやりやすい)、個人的には不要と思います。
最初の設置は運送会社スタッフ(ピアノ専門)がやってくれると思いますが、ご自身でやる場合 -部屋の模様替え等- は気を付けて下さい。
補足ですが、インシュレーター(キャスター下に履かせるお皿のようなもの)は「移動できる(フローリング上を滑らせるイメージ)タイプ」と「できないタイプ」に分かれます。
上から見てもどちらか判別できませんので、ちょっと動かしてみて「ダメそう」と思ったら止めて下さい。
腰を痛めます。
ピアノよりも身体の方が大切です。
動かす際は、ピアノ背面にある「グリップ」を握ると良いかもしれません。
大人2人以上でやってください。
”床の補強”は必要か
現在の建築基準を満たす住宅であれば”床の補強は不要”とのことで結論付けられているようです。
詳しく知りたい方は以下の動画をご参考にされてください。
動画「ピアノの床補強どうする?(一級建築士 サワダ住宅相談室)」
私はこの仕事をはじめて20年になりますが、(父の代からですと40年以上になります)床の補強をしなかったからといって、床が抜けた・床が傾いた、という例は一度もありません。
話も聞いたことがありません。
私の実家(築40年の普通の戸建て)にはグランドピアノがあります。
床の補強はしていませんが、現在にいたるまで床の状態に変化はありません。
心配な方はこんな商品も・・・
アップライトピアノは重さが280kg程度あります。
その重さを4本の脚(キャスター)で支えていますので、1本の脚(キャスター)には70kg程度の重さがかかっていることになります。
このピアノの重さを4つの「点」ではなく、より面積の広い「面」に分散させることで床への負担を軽減させることができます。
一見すると”じゅうたん”のようにも見えますが、床と接する面はパネル -つまり”硬い”のです-になっています。
補足:ピアノ設置をシュミレーションできるサイトがあります
そうなんです、YAMAHAさんのサイトでシュミレーションができるんです。
(YAMAHAのピアノのみです)
私も試してみました、使い方はとっても簡単でしたので参考にしてみてくださいね。
最後に
ピアノは一度設置してしまうと、手軽に”置き場所を変える”というわけにもいきません。
どうしても慎重になりますね。
また、ピアノの寿命・健康状態にも”設置環境”は大きな影響があります。
ピアノの”置き場所”に関するお問合せ、お悩み相談、ご遠慮なくご連絡ください。
どうぞお気軽に。