ピアノのメンテナンス~運送・防音まで「お子さまのピアノレッスン」のお悩みご相談ください

「お子さまのピアノレッスン」でどこまで防音対策が必要か?~私の経験から申し上げられること~

お子さまのピアノレッスンで、どこまでの「防音対策」が必要なのか?「情報」からではなく「経験」から考える

「ピアノの防音」について考えるとき、大変多くの「情報」が溢れています。
その情報に付随する「商品」も大変に多い。

どこまでも「情報」を追い掛けてゆき、それが見つかったからといって「我が家にとってはどうなのか」という個別の問題に落とし込むと「答え」は見つからない・・・。
「防音」の問題は周辺環境という「個別の条件」が大きすぎて、個々の「最適解」が見つけにくいのです。

また、「防音対策」はそれなりにご費用がかかります。
「防音対策」で失敗したくない、当然騒音トラブルも避けたいですし、何より気兼ねなくピアノを弾きたい。
みなさまに共通する悩みだと思います。

ここでは「情報」や「数値」ではなく、私の経験上申し上げられることを中心にお話を進めたいと思っています。

【設置状況別】「お子様のレッスン」なら、まず検討すべき3つのケース・対策

ここでは防音の目的を「(お子様の)ピアノレッスン」に限りたいと思います。
いささか結論を急ぐようですが、防音は「その目的」によってかなり対策が異なります。
「質的」にも「量的」にも。

「お子さまのピアノレッスン」での防音、ここで目指すべきなのは「ご近所への配慮」ですね。
完全防音」、つまり外へ漏れる音を「0」にすることではありません。
その目的であれば「音量減衰」で十分なケースが多い。

抑えるポイントは、「ピアノ背面」と「床下への防音」です。
ご家庭の状況・ピアノの設置状況に合わせて対策を組み合わせれば、騒音の不安は大きく減らせます。

以下は、私の経験からお伝えできる3つのケースです。

【ケース1 】壁の向こうが気になるなら「防音パネル」

設置状況としては、
「 マンション等の集合住宅」で
ピアノの背面が「壁一枚隔ててお隣さん」
という状況が該当します。

アップライトピアノの音は、約50%が「背面から壁」に伝わります。
「ピアノの音(空気伝番音)」を抑えるには、ピアノの背面が最も効率的です。

防音パネル

防音パネル 自宅にて

あるいは、
「戸建てで、ピアノ背面がお隣さんのリビング(隣家との間隔が狭い)」

こうしたケースも該当する場合があります。

【ケース2】:階下への振動が気になるなら「防音マット・インシュレーター」

こちらこ「マンション等の集合住宅」が該当します。
マンション等で特に問題になるのが、鍵盤を叩く「コツコツ」という打鍵音・振動音です。
こうした「固体伝搬音(個体を伝わる音)」の方が、「空気伝搬音(空気を伝わる音)」よりも「響く」傾向にあります。

「集合住宅で2階以上のフロアにお住まい」の方は、お考えいただくと良いと思います。
また、集合住宅1階にピアノを設置の場合も必要な場合があります。
一体化した鉄筋構造の場合、「床への振動」が「隣家の壁や床へ」伝わるからです。

防音ジュータン グランドピアノ用

防音ジュータン ピアノ教師宅に設置

導入のタイミングは「ピアノ移動・運送時」が合理的。
ピアノ専門の運送業者であれば、「床下の防音商品の設置」も併せてやっていただけます。
設置料金を別途請求されることはありません。

既においてあるピアノの場合は、「ピアノを動かす・持ち上げる」必要があります。
この場合は、設置料金(というより、ピアノを一時的に移動したり・持ち上げたりするので)が発生します。

【ケース3】:時間帯を気にせず弾きたいなら「消音ユニット」

夜間練習など、音を完全に消したい場合の手段です。
説明不要かと思いますが、消音ユニットであれば「ピアノの音」が外へ漏ることはありません。

ただ、「打鍵音」は消せないのです。
ですので、消音ユニットを取り付けた場合も、「床下への防音(マンション2F以上のお住まいの場合)」は必要かと思います。

また、「タッチ感が変わる(若干ですが)」などの影響もございます。
「 ピアノ本体の設定」を変更するためですね。
(専門的な解説で恐縮ですが、”レットオフ・接近”という項目を変更します)

消音ユニット取付

40年前のYAMAHAに消音ユニット取付 お客さま宅

費用もそれなりにかかります。
取付け料金含めて「¥200,000」程度でしょうか。

取り付け前に、「本当に必要か」お考えいただくと良いと思います。

よくご相談をいただく”防音パネル”、「目的」と「環境」次第で有効です、ただ「戸建て」の場合は不要と思います

よくご相談をいただく「防音パネル」についても触れておきます。
結論から申し上げますと、私が主にご相談を受ける「(お子様の)ピアノレッスンでのご近所への配慮」という目的であれば、コストパフォーマンスに優れた対策の一つです。

20年間、様々な設置状況のご家庭を見てきましたが、ピアノの音が原因で深刻なクレームになったケースは10件もありません。
インターネット・各種SNSで「防音情報」を確認しておられるみなさま、あまりご心配されないで下さい。

【防音パネルへの疑問】なぜ「防音パネルは意味ない」と言われるのでしょうか?

「防音パネル」と検索すると、「意味ない」と出てきます。
それだけ、「防音パネル」の性能について疑問を持たれている方が多い。
「防音」への悩みの深さが見て取れますね。

では、なぜ「意味ない」という声・情報があるのでしょうか?
それは多くの場合、以下の2つの論拠によるものだと思います。

<論拠1>「完全な防音」を前提としている

例えば「スタジオの様な完璧な防音(音をゼロにする)」は、パネルだけでは不可能です。
また、「夜中のライブ配信(歌・ゲーム実況・トーク)」等のコンテンツ配信の防音と、「ピアノレッスン」の防音を区別せずに書かれている情報もございます。

ピアノ防音室

ピアノ防音室(中古) ピアノ教師宅にて

プロの演奏家やYouTuberの方が「意味ない」と言うのは、このレベル(完全防音)を求めているからです。

しかし、お子様のレッスンのためにそこまでの「防音」は必要でしょうか?
経験上、「不要」と断言できます。

<論拠2>:音の特性についての誤解

ピアノの音は床からも伝わります(固体伝搬音:鍵盤を叩く音ですね、「打鍵音(だけんおん)」ともいいます)。
パネルは主にピアノ背面から出る音(空気伝搬音)に有効なため、「パネルを付けたのに階下から苦情が来た」→「意味ない」という情報も散見されます。

象徴的なエピソードは、サイレントピアノで弾いていると「木魚でも叩いているのでしょうか?」と階下の方から言われたというものです。「サイレントでピアノの音が消えている」為、かえって「打鍵音」が目立って響くことがあります。

 

<防音に関する問い合わせ・ご相談>
まずはお問い合わせ(フォーム)
電話でもどうぞお気軽に: 04-7129-6057

みなさまに最適な対策は? 防音に関するご相談、どうぞお気軽に

上記のように「完全防音(音楽を職業にしている方のものです)」という選択肢を外してしまえば、ピアノの防音対策はとてもシンプルなのです。

ただ、上記3つのケースだけで「我が家にとってどの選択肢が最適か」判然としないこともありますね。
グランドピアノとアップライトでは対策が異なりますし、同じ「リビングにアップライトを置いている」状況でも、ピアノの向きや設置状況によって対策は変わって参ります。
「うちは戸建てだけど隣と近い」
「古いマンションだから心配…」
そう思われる方もいらっしゃるかと思います。

個別のケースにつきましても、お気軽にご相談いただければと思います。

また、私のような技術者ではなくても「ピアノの先生」に相談されるのも非常に良いと思います。
ネットで情報を集めることは「ある種の指針」にはなりますが、どの対策を施すべきか(あるいは施さないという選択も含め)という実際の選択には「経験値」のある方のアドバイスの方が重みをもちますね。

防音のご相談、どうぞお気軽に。

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もっと詳しく知りたい方へ ~ピアノの防音対策の基礎知識を解説~

お子さまのピアノレッスンの”防音”を考える上で、上記記事以上の「知識」や「情報」は不要だと思います。

各種のSNSやwebサイトで様々な情報を網羅的・並列的に提供しているものがありますが
ーそれはそれで素晴らしいと思いますー
補足的な意味でご覧になるのがよろしいかと思います。

さて、以下は防音商品についての補足・詳細情報です。
考え方やそれに伴う基礎情報になります。
商品選びに必要と思いませんが、念のため。

音の伝わり方は2種類あります

ひょっとすると、ご自身で「防音対策」をお考えの方もいらっしゃるのでは?と思います。
ここでは、ざっくりと基本的な考え方を解説いたします。

音の伝わり方は、
空気の振動として伝わる「空気伝搬音」
床や壁を直接振動させる「固体伝搬音」の2種類があります。

ピアノの場合は・・・、
「ピアノの音(響板から出る音)」が「空気伝搬音」で、
「打鍵音(鍵盤を叩くコツコツという音)」が「固体伝搬音」
ですね。

ピアノの防音を考える時
「ピアノの音」と
「打鍵音やペダルを踏む音」
の両方について考える必要があります。

「固体伝搬音(打鍵音)の方が対策が難しい・・・とされています。

防音用語「吸音」「遮音」「防振」について

これもまた、「お勉強」みたいな感じで申し訳ないのでが、
防音に関する用語につていもざっくりと。

防音とは、「(外部へ漏れる)音を小さくすること」でございます。

具体的には、以下の3つの方法で音を小さくします。

<吸音>
音のエネルギーを「吸収」する素材を使って、音を弱める方法になります。
代表的な吸音材には、

ロックウール

ロックウール
ピアノ教師宅

「グラスウール」
「ロックウール」
「ウレタンフォーム」

多孔質(穴がいっぱい空いている素材)で、内部に空気を多く含む素材が適しています。
吸音材は、「高音域の音」に効果的です。

グラスウール

グラスウール お客さま宅

「遮音材」が「重くて」「硬い」ものなの

に対して、
「吸音材」は「軽くて」「柔らかい」もの

そんなイメージ。

<遮音>
音の通り道を遮断し、音を跳ね返すことで、反対側への伝わりを弱める方法になります。

石膏ボード

石膏ボード ピアノ工房にて

「素材」で言うと、

「コンクリート」
「鉛」
「石膏ボード」

なんとなく「固いもの」のイメージですね。

質量が大きく、密度の高い素材ほど「遮音性能」が高くなります。
遮音材は、「低音域の音」にも効果を発揮します。

「重くて」「硬い」ものほど、「遮音性能が高い」と言えますね。

<防振>

防振ゴム

防振ゴム これは洗濯機用

「振動」を伝わりにくくすることで、
固体伝搬音を軽減する方法です。

ピアノの脚の下に
「インシュレーター」を敷いたり、
「防振ゴム」
のような素材を敷いて振動を抑えたり。

あるいはピアノを設置している床を
「浮き床構造」
にすることで、振動が床に伝わるのを抑えます。

防音パネルや防音室の基本は、遮音層と吸音層を組み合わせた「多層構造」

防音パネル

防音パネル お客さま宅

「防音室」「防音パネル」

の基本構造は同じで
「外側に遮音材」
「内側に吸音材」の二重構造、

あるいは
「遮音材で吸音材をサンドウィッチする」
三重構造になっています。

また、こうした「素材」も重要ですが、防音効果を高める要素はこれらの素材の
「すき間をなくす」「二重にする」
ということも重要な考え方です。

【重さ・厚さ】
「重さ・厚さ」は「遮音」にかかわることです。

遮音材はより「重い・厚い」ければ遮音性能は増す・・・、ということです。
ですので、素材としては「コンクリート」「石膏ボード」という非常に質量のある素材を使用することになります。

【すき間をなくす】
「音」は隙あらば「すき間」から逃げます。
すき間の具体例は「窓」「ドア」「換気扇」「エアコンのダクト」

DIYなんかだと遮音材と遮音材のつなぎ目を「補填剤」で埋めたりしますよね、これもそのためです。

【二重にする】
「二重する」ことの意義ですが、例えば、ピアノの音が壁を通して隣室に伝わる場合、1枚の壁であればその壁自体が振動し、音がそのまま外に伝わってしまいます。

二重窓

二重窓 ピアノ教師宅

しかし二重構造では、2つの壁の間に

「空気層」
「クッション材(吸音材)」

などを作ることにより、この空間が「音のバッファー」となります。
結果、外部への音漏れを抑えることができます。

「防音」とは違いますが、「音響」についても

音は物体の振動によって生じ、その振動が周囲の媒質(通常は空気ですね)を通じて「波」として伝わります。
その音が反響することにより、音はお部屋の環境と相互作用して人間の耳に届きます。

シンプルに言うと、まさに「響き」のことです。

調音パネル

YAMAMAの調音パネル
ピアノ工房にて

音響の専門家の方は「ヤービンの音響式」
という計算式を使って計算するらしい・・・。

わかりやすい例だとピアノを

「和室」に置いた場合と
「洋間」に置いた場合では、
「響き」が全然違います。

ピアノの「防音」を考えたとき
「音響」も(こだわる場合は)考えなければいけません。

防音対策、アップライトピアノとグランドピアノの違い

ピアノの響板(ざっくり言うと、「ピアノのスピーカー」のイメージ)はアップライトとグランドで建付けが異なります。
アップライトは垂直に(床に対して)、グランドピアノは平行に設置されていますので、それぞれ音が放射する方向が違うのです。

音が出る方向はそれぞれ
ピアノ 背面から音
【アップライトピアノ】

前面: 40%
背面: 50%
上面/下面/側面: 10% (分散)

構造上背面への音の集中がやはり大きくて、壁の反射により音量が増幅されます。

グランドピアノ 音の方向

【グランドピアノ (蓋を開けた状態)】

下面 (床方向): 40%
上面: 30%
前面/背面/側面: 30% (分散)

蓋(大屋根といいます)の開閉状態によって違いますが、やはり下方向への音量が一番大きいと言われています。

(下方向は響板が「剥き出し」状態ですので)。それぞれの防音対策を考えると、

「アップライトピアノは背面への防音」
「グランドピアノは下面への防音」

というのが基本的な考え方。

※上記は「ピアノの音(空気伝搬音)」への対策の違いで、「打鍵音(固体伝搬音)」へはほとんど同じです、アップライト・グラント共に「床下への防音」が重要になります。

最後に・・・

防音に関する商品もここ数年で随分と変わりました、増えましたね。
変わった(増えた)のは商品だけではありません。

情報を仕入れるための ーつまり何かを調べるための ー  ツールがとても増えました。
Youtube、Instagramをはじめとした各種のSNS。

そこでの情報を生真面目に1つ1つ確認していくと、お調べになっているみなさまは「混乱」されるのでは?と感じます。

「(子どもの)ピアノレッスン」と

「プロのミュージシャンでバリバリ弾きます」
「真夜中にライブ配信するライバー」
「絶叫しながらゲーム実況するyoutuber」

では求めれる防音性能は違います。

「防音の目的」をしっかりと認識しないと情報収集もままならない。

そもそも本当に防音が必要なのか、目の前の情報は「私の目的」に合致するものなのか。

ご不明点やご要望などがございましたら、ご遠慮なくご相談ください。

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