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ピアニッシモ~フォルティシモの「ダイナミックレンジ」を確保する:「整調(せいちょう)」

ピアニッシモ~フォルティシモの「ダイナミックレンジ」を確保する

ピアノを弾くことを”曲表現”と捉えるなら
”ダイナミクス”はとても重要な要素

それ以外にも
「シンコペーション」
「アクセント」
「スフォルツァンド」

など、音の”強弱”に関わる表現方法は少なくありません。
pp~ffまでの”幅”を確保する。
表現力のあるピアノにする。

「整調」という作業です。

主要項目は「10項目」程度、”鍵盤をタッチ”してから”音が鳴る”まで

ピアノのアクション
(鍵盤を押してからハンマーが弦を打つまでの複雑な機構)の調整。

「鍵盤のタッチ」
「音の響き」 に関わる作業。

鍵盤深さ調整

パンチング・ペーパーによる鍵盤深さ調整

「整調」の目的・意義は
「演奏性能の向上」

とても幅広いですね。

「鍵盤の高さ・深さ」
「近接距離(レット・オフ)」
「バックチェックの調整」

などが主要項目。

接近調整

レットオフの調整
”ピアニッシモ”の表現力に関わる

 

”鍵盤をタッチ”してから”音が鳴る”まで、
あるいは”次のタッチまで”に至る

「動作の量」

を基準値に整えていきます。

「お子さまのピアノ演奏」にとって”整調”の意義を考える

「お子さまのピアノレッスン」という視点で、整調の”意義”を考えます。

整調の意義

「子どもと楽しむための音楽表現」教則本 ピアノ教師宅にて

 

「表現力の向上」

”音の強弱”や”ニュアンスのコントロール”
の平易性が確保できれば、
表現豊かな演奏を可能にしてくれます。

その曲の「理解を深め」
音楽そのものの「愉しさ」を感じてくれるのではないでしょうか。

「演奏技術の向上」という側面からも云えることがありますね。
”正しいタッチ”と”スムーズな演奏”は、「演奏技術の向上」に関わります。

代表的な「整調項目①~③」を例にして

鍵盤の高さ

鍵盤の高さは「64㎜」

【鍵盤高さ・深さ】

「鍵盤の高さ :64㎜」
「鍵盤の深さ: 10㎜」

が適切でないと、タッチのスムーズさが失われます。

特に手の小さいお子さまは、正しい「タッチのフォーム」を”感覚的に身につけるのが難しい。

”均一かつ適正”高さ・深さは、スムーズな演奏と正しいフォームの習得を助けてくれます。

【接近(レギュレーション)・レットオフ】

ピアニッシモのコントロール

「接近値」 ピアニッシモのコントロールに影響する

接近とは、ハンマーが弦に近づく距離のこと。
「基本は2㎜」

これらの調整が適切でないと、音の強弱のコントロールが難しい。

「表現豊かな演奏」ができません。

お子さまの場合、繊細なタッチ ー特にピアニッシモーを習得する上では大切な項目です。

【ロストモーション調整】

ロストモーション 調整

ロストモーション調整
鍵盤の”遊び”を整える

鍵盤を押し始めてからハンマーが動き出すまでの
「遊び」のことです。

ロストモーションが大きすぎると
「鍵盤がフワフワ」し、

逆に小さすぎると、
「鍵盤が重く感じ」られ、
疲れるだけでなく、繊細な表現も難しい。

適切なロストモーションは、指の力を「効率的」に伝えます。
「無駄がない」のです。

「繊細なタッチ」から「力強いタッチ」まで、幅広い表現が可能になり、お子さまの”演奏技術の向上”を助けてくれます。

タッチの「軽い・重い」は別の作業

タッチに関するご要望で多いのが
「タッチを重く・軽くしてほしい」というもの。

鍵盤を軽くする

パンチングクロスの加工:タッチを軽くする

「重くする・軽くする」の調整と、この「整調」作業は別ものになります。

経験上、「整調」を行うと、
「タッチが軽くなった」という方が多い。

これは、鍵盤及びアクションの”運動量”を「基準値」にした結果です。

「タッチを軽く・重くする」の調整は、「整調」作業を行った上で行うのが理想です。

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