皆様、こんにちは。
本日のテーマは前回のテーマ「キンキンした音をなんとかしたい」に関連して・・・、「こもった音をなんとかしたい!!」というテーマで書いてみたいと思います。

こもった音の原因は大きく分けて2つ(いや、3つかな・・・)

こもった音の原因って何かというと、大きく分けて2つ、いや3つあります。
①ハンマーが弦に真っすぐ当たっていない
②ハンマーの頭(弦に当たる部分)がやわらか過ぎる・つぶれている
③そのピアノの個性
③「そのピアノの個性」についてですが・・・、前回のテーマでも触れましたが、ピアノの音色というのはメーカーによって、あるいは製作された年代機種によっておよその”傾向”というものがあります。
具体的にはYAMAHAは「キラキラ・華やか」とかKAWAIは「しっとり・優しい」などなど・・・。
また、製造年によっても違いますね、ざっくりいうと昭和50年代のYAMAHAは「キラキラ」だけども、平成にはいると「ちょっとしっとり」などなど・・・。
ここがなかなか難しいところで、音色の問題は突き詰めていくと「好み」の問題だったりするのですよね・・・、ある人にとっては「優しい」と感じる音色(ポジティブな意味)が、ある人にとっては「こもっている・モコモコしている」とネガティブな印象だったりする訳です。好みの問題を書き始めると今回のテーマから逸脱するので・・・、今回は①②についてのみにしますね(^^;)

ハンマーが弦に真っすぐ当たっていない

ある特定の音が(他の音に比べて)こもっている・モコモコしている、そんな場合は、この理由による場合が多いですね。

一つの音には3本の弦が張ってあります。

音を出すときハンマーが弦に当たりますが、このハンマーが「真っすぐに」そして「3本の弦に同時に」当たらなければきれいな音が出ません。
ピアノって天然素材である「木材・羊毛」で出来ているので、どうしても経年変化が起きてきます・・・。
ですので、こうした真っすぐ当たらないハンマーが出てくる場合があるのです。

対処の方法としてはとってもシンプル!!
ハンマーが真っすぐ弦に当たるように調整します。

ハンマーの根元の位置(フレンジといいます)を調整したり、根元にマスキングテープを貼って当たる角度を調整したりするのです。
(ただし、位置・角度の調整をすると今までと弦に当たる部分が変わるので、ハンマーの頭をヤスリで少々削り音色を調整します)

ハンマーの頭(弦に当たる部分)がやわらか過ぎる・つぶれている

ある特定の音ではなく、ピアノ全体として「こもっている・モコモコしている」場合はハンマーがやわらか過ぎることが考えられます。
前回のテーマ、キンキンした音の原因「ハンマーが硬い」の逆ですね・・・。

また、弾いていくうちにハンマーの頭(弦に当たる部分)が押しつぶされ、弦に当たる面積が広くなっていることも大きな原因の1つです。

弦との接地面積が大きくなると、ハンマー自身が弦に当たるときに弦振動を止めてしまうことがあります(^^;)
そうなると、結果としてこもった印象の音に・・・。

余談ですが、ハンマーの形って基本的には右の画像のように卵のような形状をしています・・・、が、メーカーによって微妙に形が違います。
代表的なのはスタインウェイの「ダイヤモンド型」。
両脇が角ばっていて、頭が鋭くとがった感じの形をしています。
この形状だけでスタインウェイの「キラッキラした華やかな音」がイメージできるから不思議です。

さて、こうした理由における「こもった音対処方」は、やわらか過ぎるハンマーの頭をヤスリで削り新しいフェルト面を引き出してあげることです。

また、形状もハンマーの頭を鋭角にし(もちろんピアノの個性もありますので、ケースバイケースですが)、ハンマーと弦が接する面積を小さくしてあげると、クリアーな印象の音になります!!
こうしてハンマーを削ると「タッチが軽くなった!!」というお客様が結構いらっしゃいます。
こもった音の場合、どうしてもタッチを強めに弾く傾向にあります。(音が鳴らないので、無意識に強めに弾くのでしょうね・・・、多分)音がクリアーになると、少し弱めのタッチでも”音が鳴る”ので、結果としてタッチが軽やかな印象になります♪

————————————————————————————————-
いかがでしたでしょうか・・・、今回・前回と音が「キンキンしている」「金属的な感じがする」あるいは「こもっている」などの”音色”の問題について書いてみましたが、この音色についてはハンマーの質(硬い・やわらかいetc)と形状が大きく関わっています。(ただし、ハンマーの質・形状だけで音色が決まるわけではありません。ハンマーが付いているシャンクという部品の材質だったり、フレームの材質・形状であったり・・・、一応、念のため書きました(^^;))