最終更新日 2025年8月1日 by nozawa88888@gmail.com
古い歴史をもつ「フクヤマピアノ」について
日本にはかつて多くのピアノメーカーがありました。
今ではその大半がヤマハとカワイに合併されています。「フクヤマピアノ」もその1つ。
この記事をご覧いただいている方は、お持ちのピアノに「FUKUYAMA & SONS」や、あるいは「ALEXANDER」「WILHELM」といった名前が刻まれている・・・、そんな方だろうと想像します。
「このピアノの価値について」あるいは「弾き続けたいが、修理できるのか?」
「フクヤマピアノ」についての”よくあるご質問”は・・・
20年のキャリアの私でも、「フクヤマピアノ」に遭遇することは多くありませんが、問い合わせ・ご相談いただくことは多いのです。
大手メーカーのピアノの場合、買取や修繕等について、相談相手を見つけることは簡単です。
ですが、「フクヤマピアノ」を含め、すでに「メーカー自体が存在しない」ピアノですと、これがなかなか難しい。
- 大手楽器店に相談したら「メーカーが不明なので価値がない」と処分を勧められた。
- 本当の価値を知りたい。もし価値があるなら、大切にしてくれる人に譲りたい。
- 長年、家族と共にあったピアノ。愛着があるのに、ただ捨ててしまうのは忍びない。
- 音が出ない、弦が切れている。でも、こんな古いピアノを修理できるのだろうか?
今までにご相談いただいた内容です。
ご相談いただいた「価値があるか?」についてお答えするのには、少々説明が必要かと思います。
ピアノ買取業者に相談したら「買取対象外」と言われた、というのは「価値がない」という意味ではなく、「リニューアルピアノとして販売するのにコストがかかる」という意味です。
そもそも「フクヤマピアノ」とは?【創業1900年の歴史】
フクヤマピアノは、創業者である福山松太郎氏によって1900年(明治33年)に創業された、日本のピアノメーカーの草分け的存在です。元は「オルガン」を作成していました。
- 1823年:シーボルトが日本に初めてピアノを持ち込んだ。
- 1887年:ヤマハの創業者である山葉寅楠が、オルガン製作を始める。
- 1900年:ヤマハが日本初のアップライトピアノを完成。
日本のピアノの歴史を見ても、「フクヤマピアノ」の創業がいかに古いか、が分かります。
ラッカー塗装の温かい風合いや、今では希少な象牙鍵盤が使われていることも多く、当時の職人魂を感じさせる作りが特徴です。
昭和30年頃のカタログから
資料が乏しいので、国会図書館のデータベースで確認してみました。
フクヤマピアノについて詳細に書かれたものは見つかりませんでしたが、昭和30年~40年にかけて頻繁に新聞広告をだしていたようです。
(明治大正昭和新聞研究会 編集制作 「新聞集成昭和編年史」より)
昭和30年頃のカタログが、ネット古書店にて売っていましたので手に入れてみました。
ALEXANDERやWILHELMなど、16ものブランドを展開していたのですね、その技術力と挑戦の歴史がうかがえます。
もちろんグランドピアノも製造していました。
昭和30年頃のカタログには、「家庭用グランドピアノ」との表記がございます。
時は「高度成長期」、日本がどんどん豊かになっていく時代。
こちらは「分割プラン」のご案内。
練りに練ったという感じの文章・キャッチコピーですね。
一般家庭がピアノを購入できるようになったのは、昭和50年頃からです。
昭和30年頃の大卒初任給は¥10,000くらいだそうですので、カタログ掲載のアップライトピアノ¥340,000がいかに高額かわかります。
元はオルガンメーカー、オルガンも掲載されています。
<問い合わせ・ご相談>
フクヤマピアノに関するお問い合わせ(フォーム)
お電話でもお気軽に: 04-7129-6057
フクヤマピアノ、張弦修理の様子から
ヤマハやカワイと云った大手メーカーに比べ、フクヤマピアノの修理・修繕をすることは多くありませんが、やはり歴史あるメーカーですので製造から50年以上経過したピアノと遭遇することもしばしば。
今回は、千葉県印西市にてフクヤマピアノの張弦修理を行いました。

見た瞬間にとても歴史を感じさせる クラシカルな佇まいのピアノ。
ラッカー塗装で仕上げられたことが一目瞭然な懐かしい ぬくもりを感じさせる雰囲気です。
鍵盤は「象牙」です。
この フクヤマピアノ、「福山ピアノ」 広島県の福山市が発祥のピアノメーカー というわけではなくて(私も若い時はそう思っていました)、福山松太郎さんという方が 創業者の日本のピアノメーカー。
先にもお書きしましたが創業はなんと1900年(明治33年)、日本で一番古いピアノメーカーの ヤマハが1887年創業ですから、国産のピアノメーカーの中でも最古参といった感じです。
※もともとはオルガン メーカーで後にピアノを作ると言ったことになります。
フレームのところにALEXANDERという刻印が見えます。
これは 福山 ピアノが作っていたブランドの1つで、その他 WILHELMなどのブランドのピアノも制作をしていたようです
(調べましたら 16のブランドのピアノのメーカーを作っていたとのことで、当時 近代化される前のピアノメーカーのチャレンジ精神を感じます)
「音が出ない箇所がある」というご相談でしたが、その原因は 弦が切れていることによるもの。
ピアノの音が出なくなる原因は本当に様々です。
弦が切れて音が出なくなるっていうのは・・・、結構珍しいんですよね。
早速、新しい弦に張り替えます。
ピアノの弦もその他の弦楽器同様に低音部から高音部まで太さが異なります。
我々の業界では 「番手」と言います
※元々、この「番手」と言葉は糸や ワイヤーなどの太さを示すために使われてきました、ピアノの弦もこれに倣って「番手」という言葉を使います。
ピアノの弦は低音から高温にかけて徐々に細くなります、これによって 各音域で適切な音色と張力を得ることができるようになっています。
ピアノの弦の正式名称は「ミュージックワイヤー」と云います。
「ピアノ線」は「強度の強い針金」という意味の言葉でピアノの弦ではありません。
その後は
整調(鍵盤やアクションの動きを調整する作業)
整音(ハンマーフェルトに針を刺して硬さを調整)
最後に調律をして、無事に全ての作業終了。

フレームにはこの「est」の刻印。
establishment「創業」の意味です。
1900年創業・・・、今から100年以上、長い歴史と職人の誇りの魂を感じます。
上には謎の日付が…、
どなたか 技術者さんが書いたんでしょうね…。
ピアノのオーナーさんに このピアノの由来を聞いたのですが、ご本人(70代女性)はどなたかから譲り受けたピアノ だそうで…、出自は謎に包まれたままです。
「実家に謎のメーカーのピアノがある」という方は 野沢 ピアノに連絡ください、ピアノの中に何かお宝が眠っている可能性もあります!!
フクヤマピアノに関して、お寄せいただきましたコメント
先にもお話いたしましたが、「フクヤマピアノ」については、ご相談いただくことが多いのです。
代表的なものを一部ご紹介します。
【コメント1:群馬県 70代男性】
私の家にも福山ピアノのWILHELMがあります。…(中略)…今後どのようにしようか悩んでおります。
【コメント2:57年前に購入された方】
母がマンションに引っ越すので手放したいのですが福山ピアノの良さをわかる業者はありますか?
【コメント3:都内 WILHELM所有者様】
島村楽器に引き取りを確認したところ、無名メーカーのため引き取り料がかかるとの事。…(中略)…弾いていただける先を探しています。
ご両親の代から、あるいは祖父祖母の代から所有している、そんな方が多いのです。
今後の管理や維持をどうするか、あるいは価値がわかっていただけるところへお譲りしたい、そうしたお声が多い。
最後に・・・、フクヤマピアノの修理・メンテナンス、買取、ご相談ください
野沢ピアノでは、フクヤマピアノに関するご相談を承っております。
「買取」となりますと厳しい査定となることもありますが、それは「お持ちのフクヤマピアノに価値がない」ということではありません。
必要な修繕を施せば、まだまだ活躍してくれるピアノです。
日本のピアノの歴史が詰まった大切な一台だと思います。
その価値を、次の世代に繋ぐお手伝いをさせていただければ幸いです。
<問い合わせ・ご相談>
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