最終更新日 2024年4月19日 by nozawa88888@gmail.com

みなさま、こんにちは(^^♪

また、あけましておめでとうございますm(__)m
皆様はどんな年末年始でしたでしょうか?

私は実家でゆっくりと過ごしました。(毎年のことですが、奥さんと子供は奥さんの実家で過ごすという・・・、なんだかよくわからない感じなのですが、不思議と定着しております)
で、そのお正月、NHKで放送されたBS1スペシャル「もうひとつのショパンコンクール~ピアノ調律師たちの闘い~」を見ました。
実はこれ、昨年の12月23日に放送されたのですが・・・、どうしても見ることができず、「あ、実家のNHKオンデマンドで正月に見よう!!」ということで、2日に見ました。

5年に一度のショパンコンクール、ピアノメーカーの戦いでもあります

言わずと知れた「ショパンコンクール」、このコンクールで勝つことは若手ピアニストにとっては「ピアニストとしての将来」を約束してくれる大会ですが、ピアノメーカーにとっても「自分たちのピアノを弾いたピアニストが優勝すること」は非常に名誉なことです。

なんて書くと、色んなピアノメーカーが争い、果たして今回の優勝者が弾くピアノは!?・・・、みたいな展開をイメージしがちですが、実際のところは毎回優勝者はスタンウェイ(アメリカ)。
いやいや、優勝者だけでなく予選を含めほとんどのピアニストがスタンウェイを選ぶというのが実情なのです。
ですので・・・、イメージとしては絶対王者のスタンウェイにその他のピアノメーカーがどれだけ迫れるか!?というのが基本的な構図です。

今回用意されたピアノは4つ・・・・

今回、ショパンコンクールで用意されたピアノは4つ。
スタンウェイ(アメリカ)、ヤマハ(日本)、カワイ(日本)、ファツオリ(イタリア)以上の4つです。

番組でも紹介されていましたが、各メーカーの特色を簡単にご紹介すると・・・、

【スタンウェイ(アメリカ)】 力強く、華やかな音色
【ヤマハ(日本)】 弾きやすく、豊かな響き
【カワイ(日本)】 まろやかな音色
【ファツオリ(イタリア)】 明るく、クリアーな音色

言葉で説明されても・・・、イメージしにくいですが(^^;)

予選前、ステージにはこの4つのピアノが並んでいます。
ピアニストはこのピアノを1台づつ弾いていき自分のイメージに合うピアノを選ぶんです。

ファツオリ(イタリア)の挑戦

さて、私が番組の中で一番興味を惹かれたのが、イタリアのファツオリのこと。
なぜなら・・・、今回のファツオリの挑戦は・・・・、絶対王者スタンウェイに挑む各メーカーの戦略・苦悩を象徴していたように思えるからです。

とここで、ファツオリというピアノメーカーを簡単にご紹介すると・・・、ファツオリは1978年創業のイタリアのピアノメーカーで、歴史は30年ほど。
欧米のピアノメーカーは100年以上の歴史があるものが多いので、新興ピアノメーカーというイメージですね。

話を元に戻します。
このファツオリの調律をするのは越智さんという日本人の調律師さんです。その越智さんの話・・・、
「今回のショパンコンクールについては、温かく+深みのある音にしたいですね・・・」

果たしてその結果は・・・

ピアノの選定を終えたピアニストが会場の外で会話をしていました・・・。

Aさん「ヤマハが弾きやすかったね」
Bさん「僕はスタンウェイにしたよ」
Cさん「ヤマハの音は面白くないなぁ」
Dさん「カワイにしたよ、高音がガラス玉みたいだった」
Eさん「ファツオリは・・・、高音がぼやけるね」
Fさん「ファツオリ?、音が優しすぎるね、私には向きません」

結局、この日ファツオリを選ぶピアニストはひとりもいませんでした

なぜ、スタンウェイは絶対王者なのか・・・

繰り返しになりますが、このファツオリの挑戦は絶対王者・スタンウェイに挑む各ピアノメーカーの戦略と苦悩を象徴していたように思えます。

その事をお話するのに「なぜスタンウェイは絶対王者なのか?」をお話しなければなりません。
その理由は・・・、「力強く・華やか」だからです。

ショパンコンクールだけでなく、多くの国際的なコンクールは大きなホールで行われます。
大きなホールでは、スタンウェイの「力強く・華やか」な音色は圧倒的に有利なんです。
しかも、ショパンコンクールの決勝はオーケストラと共演するので、ピアノも力強さを求められます。

ここで最初のファツオリ調律師、越智さんの話に戻りますと・・・
「今回のショパンコンクールについては、温かく+深みのある音にしたいですね・・・」というお話でした。
言葉にするとちょっと伝わりにくいのですが、「温かく+深みのある音」というのは、「力強く・華やか」とは全く逆のイメージです。

ファツオリが「温かく+深みのある音」で勝負した理由は・・・

ファツオリがショパンコンクールで有利な「力強く・華やか」な音色ではなく、「温かく+深みのある音」で勝負した理由はなんでしょう。恐らく「力強く・華やか」な音色にしたのでは、その音色の先駆者であり、絶対王者のスタンウェイに敵うわけがなく、同じような方向性の音色で勝負したのではファツオリの存在感が出せないという判断だったのではないかと思います。

なかなかピアニストから選んでもらえなかったファツオリですが、その後、アクションを入れ替えて(アクションを入れ替えると音色がガラっと変わります、「力強く・華やか」系の音が出るアクションに入れ替えたようです、このような展開も予想していたのだと思います)、1人の女性ピアニストがファツオリを選びます。

その女性ピアニストがファツオリ調律師の越智さんに声をかけます・・・・、
ファツオリの音色の良さ、哲学を深く理解してくれた言葉だったようで、越智さんも「それだけ嬉しい」と言っていました・・・。

ショパンコンクールで評価されることだけがピアノの価値じゃない

そうなのですね・・・、実は各ピアノメーカーにはそれぞれの特色があります。それぞれの歴史や哲学があります。
ですので・・・、ショパンコンクールで評価されることだけがピアノの価値じゃないんです。

大きなホールでは「力強く・華やか」なスタンウェイがよく響くということであって、違うシチュエーションであればまた違う判断もあるんですし、基本的な好みの問題だってありますからね。ピアノの評価というのは・・・、奥深くて面白いものです。

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暖冬といわれている今季の冬でしたが、この2日くらいはグッと冷え込みましたね。
いよいよ本当に寒い季節です、どうぞみなさまご自愛くださいませ。

全然関係ない話ですが、本当にSMAP解散しちゃうんですかね、私はめちゃくちゃSMAP世代なので・・・・、なんだか寂しいです。