ピアノのカビ取り・カビ掃除について
みなさまからのご相談で、とても多いことの1つが「ピアノに発生したカビ、どうしたら良いですか?」「ピアノからカビ臭いにおいがするのですが・・・」というものです。
ピアノの表面(黒い塗装面)などに付着している場合は、柔らかい布なのでふき取っていただくのが良いのですが、それでも取り切れない場合は、ご家庭で対応しきれませんよね・・・。
中には「ご家族・お子さまがアレルギー」で健康上の問題があったりすると、さらに心配です。
今回はお客さまから「ピアノの表面のカビを掃除したい・ピアノがカビ臭い」とのご相談で、対応させていただきましたので、その報告です!
ピアノのカビ取りに市販の「カビ取り」は使えるのか?
作業報告の前に、「よくある質問」のお答えから・・・、使えないのです(涙)
ピアノ表面の塗装面や鍵盤表面はとてもデリケート、塗装が割れたり変色したりする可能性も否定できないので、やめておきましょう!
それではピアノのカビ取り、やっていきます!
まずはピアノを解体していきます
ピアノを解体していきます、どこにカビが発生しているか?を確認しながらの作業です。
ピアノ内部のカビを除去
今回は「棚板(鍵盤の下部分ですね)」と「親板裏(ピアノ側面の裏側)」にカビを確認。
アクション部にカビがなくてホッとしております。
(アクション部にカビを除去するのは、アクションも解体しなければならないので大変)
早速、専用の除菌剤でカビを除去していきます。
除菌剤を金属部(鍵盤したのキーピンという部分)に付着させたくないので、かなり地味かつデリケートな作業。
内部・カビ取りのbefore&after
底板(ピアノ下を開けたところ)にもカビは発生していましたので、ここもしっかりと除菌。
ちょっと画像だと伝わりづらいかもですが・・・、伝わって欲しいです。
親板(ピアノ側面の裏側)。
カビはピアノの表面(黒い塗装面)よりも、内部に比較的多く発生します。
内部は「ニス処理」等をしていませんので、木材の表面は「ザラザラ」しています。
カビが繁殖しやすい環境なのです。
外装のカビを落としていきます
今回は珍しく外装にもカビが発生しておりましたので、こちらもお掃除していきますね。
除菌剤は使えないので、研磨剤でカビを落として・・・、
表面の汚れもひどい状態でしたので、ポリッシャーで磨きます。
外装・カビ取りのbefore&after
「親板」というピアノ本体部分のカビもきれいに除去できました。
こちらはピアノの「脚部」、ここはカビではなく、汚れが酷い部分でした。
鍵盤脇の部分、この部分が綺麗になると・・・、何故かピアノ全体の印象が変わります(個人的意見)
作業終了!
内部・外装のカビ取り・除菌、外装磨き・金属磨き、調律等、全て終える頃にはすっかり日が落ちておりました。
作業時間は5時間程度。
お客さまにも喜んでいただきました。
野沢ピアノでは、この「カビ取り・除菌」作業は①ピアノクリーニング・②総合メンテナンスのサービスの一環として行っております。
ピアノのカビ問題、なかなかやっかいな問題
みなさまもご家庭でご経験があるかと思いますが(お風呂のカビなど)、「カビの除去」は一回で取り切れないことも多いです。
過去には「お子さまがアレルギー」をお持ちで、ピアノを実家から運んできた頃からアレルギー症状が強くなった・・、というご相談で対応したケースがございました。
なかなか深刻で、難しいケースでしたが「ピアノに付着するすべてのカビを完全に除去するのは難しいかも・・・」と前置きしたうえで行いました。
その後は症状も落ち着いている(毎年定期調律をしています)とのことで、私も安心しています。
もちろん、お子さまのアレルギーとピアノカビがどの程度関連しているのか、私にはわかりませんが、この「ピアノのカビ」問題はそれだけ「難しく」「デリケート」で「やっかいな」問題だな・・・、と感じています。